「桃山 天下人の100年」展 於東京国立博物館
見応えのある展覧会で、妻とともに久々に疲れたという感をいだく。展示内容が豊富ということもあるし、コロナ渦の中での久し振りの美術展ということもあるのかもしれない。
今はコロナ対策で、予約制であるので、入場者数は抑えられていて、展覧会を観るのには良い仕組みである。前期と後期に加えて、その中でも展示替えがあり、永徳の「唐獅子図屏風」は展観されていなかった。
刀剣、鎧も良いものが豊富に展観されていた。国立博物館の所蔵品で常に拝見している結城秀康の元重と拵もその一つである。般若太刀と号される青江守次の太刀ははじめて拝見するが健全なものだ。姫鶴一文字は上杉家の太刀だ。酒井家が信長から拝領した真光、有名な日光助真は助真拵として高名な天正拵も展示されている。展覧会の趣旨から拵も一緒の展観が多い。家康の枕刀とされる勝光・宗光の草壁打ちの刀は、刀そのものは実物を拝見して感動したことがある草壁打ち同作の刀の方がいいと思うが、拵は梨地鞘で後藤の金具で武士の持ち物らしい中に品の良さがある。日光助真の拵と同様に渋い家康の拵らしい。ちなみに秀吉所用の大小と伝わる朱漆金蛭巻の大小拵も展示されている。
ちなみに、この展覧会では刀は刀という展示ではなく、テーマに即した展示の中で分散されて展示されている。そのテーマとは「桃山の精髄-天下人の造形」「変革期の100年-室町から江戸へ」「桃山前夜-戦国の美」「茶の湯の大成-利休から織部へ」「桃山の成熟-豪壮から瀟洒へ」「武将の装い-刀剣と甲冑」「泰平の世へ-再編される権力の美」である。
鎧も桃山の当世具足は面白い。伊達者の語源と言われる伊達政宗関係の鎧がきらびやかである。秀吉から政宗が拝領という銀伊予札白糸威とかは白が持つ華やかさを再認識する。伊達政宗から拝領という大きな三日月の前立ちの兜もある。酒井家が家康から拝領の南蛮胴具足もモダンだ。一方、戦国期に大内氏が厳島神社に奉納した鎧は復古調だ。家康から松平忠吉が拝領したものも銀と白の色が印象に残っている。
陣羽織も派手な面白い意匠のものだ。黒地に白で蝶々が描かれているのは信長から拝領したものとか、黒地に赤の線を効果的に使ったものなどモダンである。動物、昆虫、鳥類もそうだが、戦うオスは派手になるのかもしれない。
絵は狩野永徳の「檜図屏風」が迫力があり、一番印象に残っている。長谷川等伯の「松林図」は、妻が「別のものかしら」と言ったように、照明の関係か、以前に拝見した時と印象が異なる。以前の方が暗い場所にあって良かった。今回は明るすぎ、紙の色が映えてしまっている。
入ってすぐに各種の「洛中洛外図屏風」が並んでいる。無くなった聚楽第が書かれている屏風も初見だ。「関ヶ原合戦屏風」も色もはっきり残っていて、長く観ていたいものだった。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の肖像画も凄い。豊臣秀吉のは狩野光信の下書きらしいが「よく似ている」旨の書き込みがあるらしいが、いいデッサンだ。
教科書で観る絵も出品されている。「フランシスコ・ザビエル像」や、「日本図・世界図屏風」、「泰西王候騎馬図屏風」など南蛮人の絵も多く出ていて、桃山時代らしい。花鳥蒔絵螺鈿聖龕は輸出品のようだが、マリア様らしき女性が真ん中にあり凄いものだ。
岩佐又兵衛の絵、狩野探幽の細かく人物を描いている絵が印象に残っている。妻は海北友松が中国人物を墨で描いた「飲中八仙図屏風」がいいと言っていた。海北友松には龍虎を描いた屏風を以前に拝見したことがあり印象に残っている。式部輝忠という画家の絵も数点展示されていた。曾我直庵の龍虎図も認識を新たにした。この時代は永徳と等伯だけではないのだ。
華やかな世相を描いた出雲阿国の阿国歌舞伎図屏風や本多平八郎姿絵屏風の伊達姿の絵、遊楽人物図も魅力的である。
茶道具も桃山美術の代表的ジャンルであり、素晴らしい展示だ。井戸茶碗の名品があり圧巻であった。蓬莱、有楽井戸、老僧などがあった。朝鮮の雑器から美を見出す当時の感性は凄い。利休所持の長次郎の禿は小ぶりで感じの良いものだ。織部好みの豪快で歪みのある伊賀焼の水指、同じく「岩かど」の銘があるものなどだ。織部、志野茶碗もいい。本阿弥光悦の2つの茶碗は大ぶりで豪快だ。楽家3代の道入の赤楽の「僧正」「升」という銘のものも感じが良く、認識を新たにした。
大内筒と呼ばれる青磁筒花入も素晴らしい。日明貿易で入手したのであろう。
他の分野の美術としては鏡や七宝が入れられた釘隠の金具なども華やかなものだ。漆芸も見事なものだ。高台寺蒔絵のものや西洋人の為に造った箱などはルイビトンの鞄よりもいい。
今はコロナ対策で、予約制であるので、入場者数は抑えられていて、展覧会を観るのには良い仕組みである。前期と後期に加えて、その中でも展示替えがあり、永徳の「唐獅子図屏風」は展観されていなかった。
刀剣、鎧も良いものが豊富に展観されていた。国立博物館の所蔵品で常に拝見している結城秀康の元重と拵もその一つである。般若太刀と号される青江守次の太刀ははじめて拝見するが健全なものだ。姫鶴一文字は上杉家の太刀だ。酒井家が信長から拝領した真光、有名な日光助真は助真拵として高名な天正拵も展示されている。展覧会の趣旨から拵も一緒の展観が多い。家康の枕刀とされる勝光・宗光の草壁打ちの刀は、刀そのものは実物を拝見して感動したことがある草壁打ち同作の刀の方がいいと思うが、拵は梨地鞘で後藤の金具で武士の持ち物らしい中に品の良さがある。日光助真の拵と同様に渋い家康の拵らしい。ちなみに秀吉所用の大小と伝わる朱漆金蛭巻の大小拵も展示されている。
ちなみに、この展覧会では刀は刀という展示ではなく、テーマに即した展示の中で分散されて展示されている。そのテーマとは「桃山の精髄-天下人の造形」「変革期の100年-室町から江戸へ」「桃山前夜-戦国の美」「茶の湯の大成-利休から織部へ」「桃山の成熟-豪壮から瀟洒へ」「武将の装い-刀剣と甲冑」「泰平の世へ-再編される権力の美」である。
鎧も桃山の当世具足は面白い。伊達者の語源と言われる伊達政宗関係の鎧がきらびやかである。秀吉から政宗が拝領という銀伊予札白糸威とかは白が持つ華やかさを再認識する。伊達政宗から拝領という大きな三日月の前立ちの兜もある。酒井家が家康から拝領の南蛮胴具足もモダンだ。一方、戦国期に大内氏が厳島神社に奉納した鎧は復古調だ。家康から松平忠吉が拝領したものも銀と白の色が印象に残っている。
陣羽織も派手な面白い意匠のものだ。黒地に白で蝶々が描かれているのは信長から拝領したものとか、黒地に赤の線を効果的に使ったものなどモダンである。動物、昆虫、鳥類もそうだが、戦うオスは派手になるのかもしれない。
絵は狩野永徳の「檜図屏風」が迫力があり、一番印象に残っている。長谷川等伯の「松林図」は、妻が「別のものかしら」と言ったように、照明の関係か、以前に拝見した時と印象が異なる。以前の方が暗い場所にあって良かった。今回は明るすぎ、紙の色が映えてしまっている。
入ってすぐに各種の「洛中洛外図屏風」が並んでいる。無くなった聚楽第が書かれている屏風も初見だ。「関ヶ原合戦屏風」も色もはっきり残っていて、長く観ていたいものだった。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の肖像画も凄い。豊臣秀吉のは狩野光信の下書きらしいが「よく似ている」旨の書き込みがあるらしいが、いいデッサンだ。
教科書で観る絵も出品されている。「フランシスコ・ザビエル像」や、「日本図・世界図屏風」、「泰西王候騎馬図屏風」など南蛮人の絵も多く出ていて、桃山時代らしい。花鳥蒔絵螺鈿聖龕は輸出品のようだが、マリア様らしき女性が真ん中にあり凄いものだ。
岩佐又兵衛の絵、狩野探幽の細かく人物を描いている絵が印象に残っている。妻は海北友松が中国人物を墨で描いた「飲中八仙図屏風」がいいと言っていた。海北友松には龍虎を描いた屏風を以前に拝見したことがあり印象に残っている。式部輝忠という画家の絵も数点展示されていた。曾我直庵の龍虎図も認識を新たにした。この時代は永徳と等伯だけではないのだ。
華やかな世相を描いた出雲阿国の阿国歌舞伎図屏風や本多平八郎姿絵屏風の伊達姿の絵、遊楽人物図も魅力的である。
茶道具も桃山美術の代表的ジャンルであり、素晴らしい展示だ。井戸茶碗の名品があり圧巻であった。蓬莱、有楽井戸、老僧などがあった。朝鮮の雑器から美を見出す当時の感性は凄い。利休所持の長次郎の禿は小ぶりで感じの良いものだ。織部好みの豪快で歪みのある伊賀焼の水指、同じく「岩かど」の銘があるものなどだ。織部、志野茶碗もいい。本阿弥光悦の2つの茶碗は大ぶりで豪快だ。楽家3代の道入の赤楽の「僧正」「升」という銘のものも感じが良く、認識を新たにした。
大内筒と呼ばれる青磁筒花入も素晴らしい。日明貿易で入手したのであろう。
他の分野の美術としては鏡や七宝が入れられた釘隠の金具なども華やかなものだ。漆芸も見事なものだ。高台寺蒔絵のものや西洋人の為に造った箱などはルイビトンの鞄よりもいい。
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